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糖尿病

糖尿病とは

糖尿病の患者数は年々増加する傾向にあり、現在は約840万人、また糖尿病を否定できない(予備軍といいます)人数は約1320万人いるといわれており、計2210万人と推定されています。特に40歳以上の羅患率は高く、4~5人に1人は糖尿病、もしくはその予備軍というデータがあります。ところが、実際に治療を受けている患者様の数は約400万人(45%程度)で、半数以上の方が糖尿病であることに気付いていないか、気付いていても治療を受けていないのが現状です。

「糖尿病」という病気は知っていても、実際にどんな病気なのかを知っている方は少なく、『尿に糖が出るだけ』や『甘いものさえ控えれば良いんだ』などと軽く考えている方がまだまだ多いと思われます。では、なぜ糖尿病になるのか、糖尿病とはどんな病気なのかなど、食べ物の成分やそれがエネルギーに変わる仕組みから理解し、糖尿病について勉強していきましょう。

食べ物はどんな成分からできているのでしょう?

三大栄養素 糖質 たんぱく質 脂質

糖質はどのような流れでエネルギーになっているのでしょう?

私たちは、食べ物を消化・吸収することで、生命を維持し活動するためのエネルギーを得ていますが、エネルギー源として最もよく使われるのが糖質(炭水化物)です。

米やパン・麺類などの糖質は、口から入り、胃で消化され、小腸でブドウ糖に分解されます。分解されたブドウ糖は、小腸から吸収され肝臓に送られます。そのうちの一部は脳や筋肉でエネルギー源として利用され、残りのブドウ糖は肝臓内に蓄えられたりします。さらに余った分は脂肪となって内臓などに蓄えられます。
このように、食物が体に入ってから、細胞にエネルギー源として取り込まれるまでの流れを糖代謝と言います。

糖尿病とはどんな病気なのでしょう?

体内でのブドウ糖の運搬は、血液によって行われています。血液中に溶け込んだブドウ糖を血糖と言います。そして、その濃度を血糖値と言います。

健康な人の血糖値は70~110mg/dlくらいの間に調節されています。すなわち、たくさん食べて血糖値が上がれば、それを下げるのに見合ったインスリンがすい臓から出て血糖値を下げてくれる(ブドウ糖を上手に細胞内へ取り込む)ので、糖尿病でない人はいくら食べても血糖値は上がりません。

しかし、インスリンの出が悪かったり、働きが悪くなったりすると、エネルギー源としてブドウ糖が体の中で上手く利用されず、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が高くなり、その状態が慢性的に続くのが糖尿病です。

糖尿病の判断基準
正常型
110mg/dl 未満
140mg/dl 未満
糖尿病型
126mg/dl 以上
200mg/dl 以上

糖尿病は一種類ではない

1型糖尿病(インスリン依存型糖尿病)

小児や若年層に多く、すい臓のインスリンを出す細胞(β細胞)が破壊されてしまい、インスリン分泌がほぼゼロになってしまうタイプの糖尿病です。
インスリン依存というのは、生命維持のために体外からのインスリン補充が不可欠な状態を言います。日本人の糖尿病患者様の約5%を占めています。

2型糖尿病(インスリン非依存型糖尿病)

成人に多く、インスリン分泌量は保たれているものの作用が低下しているタイプ(インスリン抵抗性)と、インスリンの分泌量が低下しているタイプ(インスリン分泌不全)に、遺伝因子や環境因子などが加わって発症するタイプの糖尿病です。

日本では圧倒的にこのタイプが多く、全体の90%以上を占めています。

なぜ糖尿病になるのでしょう

2型糖尿病の多くの場合、遺伝的な素因を持っている人が、糖尿病を起こす誘因により発病すると考えられています。しかし、素因を持っているからと言って必ず発病するわけではありません。素因より誘因の方が実は大きな問題なのです。

糖尿病の原因と考えられる誘因には次のものがあります。

食生活の欧米化による脂肪摂取量の増加、車の保有台数の増加による運動不足など、世の中が豊かになるにつれ糖尿病の発症率も増えています。遺伝や加齢、妊娠は逆らえないものですが、肥満・暴飲暴食・運動不足・ストレスは、日々の生活の中で防いでいけるものです。多くの病気に通じることですが、適度な運動と規則正しくバランスの良い食事を取ることで肥満を防ぎ、ストレスを溜めないことが大切です。

遺伝、加齢、妊娠、肥満、暴飲暴食、運動不足、ストレス

尿糖が陰性なら糖尿病ではないのでしょうか?

「糖尿病」という病名から、尿に糖が出る病気・出てなければ大丈夫と思っている方がいますが、それは正しくありません。尿糖が出るのは、血糖値が160~180mg/dl以上になった場合です(個人差はありますが)。それ以下ならば尿糖は出ません。従って、尿糖が出ていなくても糖尿病になっていることもあるのです。

糖尿病になるとどんな症状がでるのでしょうか?

糖尿病の症状は気が付きにくく、多少血糖が高いくらいでは全く症状のない人がほとんどです。ということは、はっきりとした症状が出たときには、実は糖尿病の始まりではなく、かなり進行しているか、急に悪化した可能性が考えられます。

症状としては、のどが渇く・体がだるくて疲れやすい・尿の量が増える・食べてもやせる・手がしびれる・視力が悪くなる・こむら返りなどがあります。その症状をそのままにしておくと、意識障害、昏睡を引き起こし、ひどい時には死に至ることもあります。

糖尿病を放っておくとどうなるのでしょうか?

自覚症状がないからと言って、糖尿病を放置していると、高血糖は全身の様々な臓器に障害をもたらし合併症を引き起こします。糖尿病の怖さは、この合併症にあるのです。糖尿病の三大合併症として、神経症・網膜症・腎症があり、その他の合併症としては、心筋梗塞や 脳梗塞などの原因となる動脈硬化症などもあります。

このような合併症が発現するまで糖尿病を放置し、重症化してから治療を開始した場合の医療費は、普段から通院していた人の6倍にものぼるという試算が報告されています。糖尿病では、中途半端な知識や治療は病状の悪化や合併症の進行を進めてしまう結果となることもあります。

早い段階から専門医を受診し、正しい指導を受け、治療を焦らずに行うことが、身体的にも経済的にも少ない負担で済む方法と言えます。自分自身のために、できることをこつこつと続けるようにし、日々の血糖コントロール※1を意識するように頑張りましょう。

※1.血糖コントロールとは:合併症のリスクを下げるために、日々の血糖値やHbA1cの値を『優』または『良』の状態に保つことです。ちなみに血糖コントロール『優』とは、空腹時血糖が110mg/dl未満で、HbA1cが5.8%未満の状態を指します。良好なコントロール状態を維持することによって、合併症の発症・進行を阻止し、健康な方と変わらない日常生活の質の維持や、寿命の確保を目標としています。

合併症

恐いのは合併症です

糖尿病の治療といえば血糖コントロールと言われますが、血糖値が高くても、今は何の症状もないのに、なぜ毎月通院し、食事や生活習慣を見直して血糖値をコントロールしなければならないのでしょうか?
それは、血糖値が高い状態が続くことによって起こる合併症を予防する、もしくは進行させないためなのです。合併症の怖いところは、気が付かない内にどんどん進行してしまい、症状を自覚した時には、かなり進行しているということが多いからです。また、合併症が発症し、ある程度の状態まで進行してしまうと、その後、血糖コントロールを頑張っても取り返しがつかないことがあります。

糖尿病の様々な合併症は大きく分けて、血管の障害と神経の障害に分けられます。

様々な合併症の中で糖尿病に特有な三大合併症として神経障害・網膜症・腎症があります。

神経障害

末梢神経には運動神経、感覚神経、自律神経がありますが、糖尿病で障害が出るのは感覚神経と自律神経です。個人差はありますが、合併症の中でも一番先に出てくるといわれています。

感覚神経・・・
痛み・温度などを感じる神経
自律神経・・・
自分の意志とは関係なく、生体活動を調整している神経
(胃腸の蠕動運動や心拍数の調整など)
症状

手足のしびれ ・ かさかさする ・ 足が冷える ・ こむら返り ・ 足の裏の違和感
 ・手足の痛み ・ 物が二重に見える ・ めまい ・ 立ちくらみ ・ 便秘と下痢を繰り返す
 ・ 尿が出にくい ・ 勃起不全
などなど…

※この症状に心当たりがあるからといってそれが必ず糖尿病性神経障害とはいえませんので、気になる方は先生に相談してください。

軽いしびれなどの神経障害で、HbA1cが8%程度ならば血糖コントロールを良好にすることで改善もありますが痛みが出現してくるとなかなか良くなりません。内服薬もありますが、劇的に効くものはありません。神経障害が出現・進行していると、しびれ→痛み→ついには神経が断絶し感覚がなくなります。

感覚がなくなるということは
熱さが判らない。
→追い焚きの熱いお風呂に入っても、熱さを感じず火傷してしまう。
→湯たんぽ・アンカ・ストーブの熱さに気付かず、当たり続けて火傷してしまう。
痛みがわからない。
→靴ずれしていることに気付かず、化膿してしまう。
→がびょうを踏んでも気付かず、放置して傷が化膿してしまう。
低血糖の症状が自覚できない。
→突然意識を失う(昏睡状態に陥ったり、運転中ですと事故に繋がる恐れもあります)。

このようなことが起こってしまうと、気がついた時には傷口が化膿し、細菌が広範囲に広がってしまい、その部分が壊疽を起こしていると切断しなくてはいけなくなったり、最悪の場合は命に係わることもあります。

予防

血糖コントロール!基本は食事療法です。そして運動療法・薬物療法。

  • 自分の足をよく観察しましょう。
  • 低血糖に注意しましょう。
  • 切り傷やたこ、魚の目などは決して自分で処置しないようにしましょう。
  • 靴ずれ、低温火傷に注意しましょう。
  • 夏でも靴下をはくように心がけてください。*むれたら足を洗う。傷を作らないことが大切です。

網膜症

三大合併症の中でもっとも深刻です。それは、成人してからの失明の原因の第1位が糖尿病性網膜症だからです。そして、眼底出血によって視覚障害を起こした人は年間3,000人にも及びます。

「網膜」はカメラでいうとフイルムです。そこから光や色が情報として脳に伝えられます。網膜には酸素や栄養を供給するための細い血管が集まっており、糖尿病になるとそのような細い血管が傷むので酸素や栄養がうまく供給されずに網膜症が起こります。

網膜症には大きく3つの段階があります。
1.単純網膜症
細い血管にコブができたり小さなしみや出血が見られますが、自覚症状はほとんどありません。血糖コントロールを良好にすれば軽快や回復することもあります。
2.増殖前網膜症
網膜の表面の血管がつまり、あちこちにしみが見られるようになります。酸素が行き届かなくなりますがまだ自覚症状はありません。出血していても、視野に掛からない所で起こしている場合は自分で気が付きません。
3.増殖網膜症
詰まってしまった血管の代わりに酸素を補うための新生血管と呼ばれる、もろくて破れやすい血管が次々に出現し、軽い衝撃や血圧の上昇ですぐに出血を起こしてしまいます。網膜上での出血を眼底出血といいます。進行するにつれ視野障害などの症状が出てきますが、進行も早くすでに治療困難になっていることが少なくありません。
予防・治療

やはり大切なのは血糖コントロール!食事療法。

例え、問題ないと言われても定期的な精密眼底検査を受け、眼科で「糖尿病眼手帳」を記入してもらいましょう。HbA1cが6%程度でしたら、半年から一年に一回の受診でよいと思われます。
眼底出血が起こった場合は、レーザーによる光凝固療法や硝子体手術といった治療法もありますが、適した時期を過ぎていると行うことができません。また、この治療は根本治療ではなく、進行を食い止めるに過ぎません。
血糖コントロールを意識し、定期的に通院して検査を受け、適切な時期に治療を受けることが大切です。

食事や運動療法は医師の指示を守りましょう。(焦りや不安からいきなり頑張る方がいますが、急激な血糖コントロールや激しい運動は網膜症を進行させてしまう場合があります。)

腎症

腎臓には、糸球体という細かい血管を集めて球にしたような濾過器があり、その糸球体で血液を濾過し、体内の老廃物を尿として体外に排泄しています。高血糖が続くと、細い血管を傷めてしまうので、その血管が硬くなって狭くなることで、濾過が十分にできなくなり、体に必要なものが外に出てしまったり、出さなければいけないものが体内に溜まったりしてしまいます。

蛋白尿・アルブミン尿という言葉は聞いたことがありますか?たんぱく質は身体を作る材料です。アルブミンとは身体に必要なたんぱく質の一種です。腎臓のろ過する能力が弱まると、これらが漏れて出て行ってしまいます。尿にたんぱく質が漏れてしまうと、血液中のたんぱく質が不足し、体の中に水が貯まってむくみやすくなります。さらに進行すると、尿が出にくくなったり身体に老廃物がたまって尿毒症という症状を起こします。そして、透析療法を行わなければなりません。

腎症の経過
1.第1期(腎症前期)
臨床的には、糖尿病発症とともに糸球体濾過値(GFR)が増大し、腎症前期と呼ばれる状態になります。
2.第2期(早期腎症期)
尿中にわずかにアルブミンが漏れ出すようになってきます。この時期は、通常の尿検査では蛋白尿を指摘されないことが多いです。
3.第3期A(顕性腎症前期)
尿に蛋白質が漏れ出すようになり、通常の尿検査でも蛋白尿を指摘されるようになります。
4.第3期B(顕性腎症後期)
尿への蛋白質の漏出が増え、血液中の蛋白質が減り、体にむくみが出てくるようになります。
5.第4期(腎不全期)
血液中に老廃物がたまり、気がつかないうちに腎不全になります。この老廃物(尿毒素)によって、尿毒症(食欲不振・吐き気・むくみ・血圧上昇・肺水腫・心不全・昏睡)を起こします。
6.第5期(透析期)
透析がどんなものかをご存知でしょうか?

腎臓の代わりに機械で血液を濾過し、濾過した血液を再び体内に戻すというものです。腎機能が正常に維持されている時には当たり前のようにできていたことですが、機械で行うとなると負担も大きくなります。基本的には、一週間に3回、1回につき4時間程度かかります。その間はベッドで寝ていなくてはいけません。それを一生続けるのです。
夜間透析などもありますが、社会生活への影響は少なくありません。

透析を行っている患者様は年々増加しており、透析導入原因の第一位は糖尿病性の腎症です。
現在では、1時間に約1.8人というペースで、糖尿病性腎症の患者様が透析治療を開始しています。

では、透析をすれば長く生きられるのかというと・・・。

慢性腎不全で透析治療を行っている方の5年生存率が80%といわれているのに対し、糖尿病性腎症では50%といわれています。この差は、糖尿病が全身性の疾患であり、腎臓だけでなく、他の器官にも障害が及んでいることが多いからなのです。
予防

血糖コントロールの徹底!さらに血圧のコントロールも重要になってきます。 腎症が進行すると、たんぱく制限・塩分制限・カリウムなど、食事制限が厳しくなります。

蛋白質制限食は、腎臓に流れ込む老廃物の量を減少させて、腎機能低下の進行を遅らせてくれます。つまり過剰な蛋白質の摂取は、腎障害を悪化させる恐れがあるということです。

血圧をしっかりコントロールしましょう。

  • 腎臓の血管を開いて血流を改善して腎臓を守るためです。その為、正常血圧であっても薬を使うこともあります。

動脈硬化…大血管障害

動脈→心臓から全身へ血液を送る血管
静脈→心臓へ血液が帰る血管

動脈硬化とは、文字通り動脈が硬くなる状態をいい、これ自体が病気ではありません。動脈を新品のホースに例えてみてください。新品のホースも時間が経つと古くなり内側には水垢が付いてもろくなっていきます。人間の血管も同じで、余分に体に入ってきた糖分や脂分・コレステロールは血栓となり血管の内側にこびりついてきます。内側に血栓がたまるという事は、その分血液の通り道も狭くなり圧(血圧)もかかります。そしてその血栓は不安定にくっついているので、力が入った拍子に血管からはがれ、血流に乗って飛んで行き、血栓が通れないくらい狭い所に行き着いたとき詰まります。その先の血管には血液が回らなくなるのです。血液が行き届かないと言うことは酸素や栄養が組織に送られず、機能しなくなります。これが心臓で起こると狭心症や心筋梗塞。頭で起これば脳梗塞と言うことになります。

また、血栓がこびりつき、血液がそこを流れようと圧が高くなると血管はその圧に耐え血管が破れないようにと外側に強くなろうと厚くなり硬くなります。カチカチに硬くなった血管は血管自体がもろくなります。頭でこれが起こると脳出血となるのです。動脈硬化は血管の状態であっても、これが原因で起こる病気は命に関わる怖いものなのです。

要因
  1. 遺伝(家系に心筋梗塞などを起こした方がいる)
  2. 年齢
  3. 男性
  4. 高血圧
  5. 高脂血症
  6. 糖尿病(境界型の頃から進むと言われている)
  7. ストレス
  8. 喫煙

自分ではどうしようもない要因もありますが、この要因が1つでもあると何もない人の2倍、動脈硬化が進みやすいと言われています。

予防

三大合併症と同様に、基本は食事療法です。食べ過ぎや塩分の摂り過ぎ、コレステロールの摂り過ぎに注意し、適正体重を維持しましょう。また、喫煙は血圧を上げたり、血液の粘調度を上げる原因と言われています。禁煙は、病院に来なくても始めることのできる有効な治療の一つです(さらに、お金の節約にもなります。1日1箱吸っている方が禁煙すると、1年間で約11万円の節約に!)。

当院では、動脈硬化測定(血管のしなやかさ・つまり具合・血管年齢などが判る)の検査も実施しています。お気軽にご相談ください。

今は、なんともないという方も5年10年先を見越して、苦痛のない健康的な生活を続けていきましょう。血糖値を良好にコントロールしていれば(目標は6.5%)、糖尿病でない人と変わりのない生活をずっと続けることができます。長い人生、糖尿病と上手に付き合っていくのは自分ひとりでは大変なことです。

定期的な通院で、経過を自分でも注目しながら
先生やスタッフと相談し合い、
一緒に頑張って行きましょう。

低血糖

健康な人の体では血糖値は70~110mg/dlという狭い幅の中でコントロールされています。食事により上昇してもそれに見合ったインスリンがすい臓から分泌されるので、2時間後にはこの狭い幅に戻ってきて、それが下がりすぎてしまうこともありません。人間の体の中では、自然に調節されているのです。
しかし、糖尿病で血糖降下薬やインスリン注射などを使用している場合は食事時間や内容、運動、入浴などとのバランスによって血糖値が70mg/dl以下に下がりすぎてしまう場合があります。一般的に血糖値が70mg/dl以下に下がってしまうことを低血糖と言います。

低血糖になると、どうなるのか?

低血糖になった時、何もしなければさらに血糖値は下がっていってしまいます。

50~70mg/dl・・・異常な空腹感・あくび
40~50mg/dl・・・だるい・無表情・会話の停滞・学習力減退
30~40mg/dl・・・冷や汗・脈が速い・腹痛・振るえ
20~30mg/dl・・・奇妙な行動・意識喪失
20mg/dl以下・・・痙攣・深い昏睡

  • これには個人差や違う症状などその人に特徴的な症状のパターンがあるようです。
  • 自立神経障害があると、無自覚低血糖と言って血糖値が70mg/dl以下になっても低血糖症状が自覚できず、かなり下がってから突然意識障害を起こすこともあります。

低血糖はどんな時になるのか。

  • 食事と食事の間隔をあけすぎた時
  • 食事の量がいつもより少なかった時
  • いつもの食事量の時でいつもより運動をした時(スポーツや登山など)
  • 空腹時に運動や散歩、入浴をした時
  • 飲み薬やインスリンの量を間違えて多く使用してしまった時

低血糖症状を感じたら、どうしたらいいでしょう。

まず、その時やっていることはすべて止めましょう。
自己血糖測定を行っていて、可能ならば血糖値を測定してみましょう。(明らかに高値ならば低血糖ではない)砂糖やブドウ糖・ジュースなどを摂取し、血糖値を上げてあげましょう。ブドウ糖なら10~20g(コップ半分くらいのお水に溶いたり、そのままなめるなど)、ジュースなら350cc缶の6~8割くらいです。
摂取後15分くらいですぅーっと症状が回復してくると思いますが、改善しない場合はもう一度同じようにブドウ糖などを摂取してください。すぐに症状から回復しても、次のお食事まで2時間以上空いている場合は糖質の物を2単位くらい捕食して、低血糖の再発を予防しましょう。

低血糖時に摂取するもの

低血糖は緊急時なので、体に溶け込みやすいジュースなどが適していると思われます。携帯しやすくて日持ちがする物として、飴玉やチョコレートを選ぶ方が多いのですが、体内への吸収が遅いので低血糖時の対処としては適さないものです。

ベイスン・グルコバイという薬を飲んでいる方

このお薬は体の中で消化不良のような作用を起こし、糖質の吸収を緩やかにするお薬です。低血糖を起こしている緊急時でも、薬の効果で糖質の吸収を緩やかにしてしまい、砂糖などを摂取しても血糖値が上がってくるのに時間がかかってしまいます。このようなお薬を使用している方は、砂糖をさらに吸収しやすい形にしたブドウ糖というものを直接補給してください。
当院でもお渡ししています。市販のジュースなどにも、原材料名の欄にブドウ糖と書いてあるものがありますので、そういったものを摂取してください。

予防

○食前や空腹時に運動をしない。
(運動は食後30分~1時間後から始めるのがいいでしょう)

○食前や空腹時に入浴をしない。
(入浴もエネルギーを使いますし、入浴中の低血糖は事故につながり危険です)

○ハイキングやゴルフなど、いつもより運動をする場合は前もって1~2単位の捕食をしたり、ジュースやブドウ糖、それらがすぐに購入できる小銭を持ち歩きましょう。

○糖尿病手帳は持ち歩くようにしましょう。

○規則正しい生活に努め、許可なくインスリンの注射量を自己調節してはいけません。

○自動車を運転する前には血糖値が100mg/dl以上あることが望ましいです。

低血糖を繰り返すことも体には負担ですが、低血糖を怖がりすぎて食事療法が守れなくなっては薬物療法の意味がなくなってしまいます。
低血糖を起こさないような生活、予防法を知り、起こってしまったら冷静に対処し、なぜ低血糖になったのかを振り返ることも大切です。
不安や疑問は何でも私たちに相談してください。

シックデイ

もしも、他の病気にかかってしまったら…?

風邪・発熱・下痢・吐き気・嘔吐・食欲不振

糖尿病の患者様が他の病気にかかった時、その病気の治療方針は糖尿病でない人と基本的には変わりありません。しかし、その病気や処方された薬によっては血糖を上昇させたり、コントロールが乱れてしまったりしてしまうことがあります。自己判断で対処したり、家族や知人が病院でもらい効いたという薬をもらって飲んでみるというような事は危険なのでやめましょう。また、旅行先やかかりつけの病院が休診日の時の病気や突然のケガ、歯医者や皮膚科にかかる事もあるでしょう。そのような時にも、必ず自分は糖尿病であると言うことを医師に伝えてください。糖尿病と知らずに治療されることほど怖いことはありません。糖尿病手帳には、経過や治療内容も記録されているのでいつも持参していると良いでしょう。
歯医者での抜歯や皮膚科での処置など、前もって予定を立てる場合には当院から紹介状を出します。両方の病院で連携が取れますので、お申し出ください。

風邪や下痢で食欲がない時は、血糖値はどうなるでしょう?

食事が取れない、下痢や嘔吐がある場合は、普段のインスリンの量では一般に低血糖になります。しかし、発熱や下痢が続くと体は脱水になり血液が濃縮され、血糖値は上昇します。

咳や骨折、関節痛など痛みなどで苦痛が強い場合は、血糖値はどうなるでしょう?

人間の体にとって、病気や苦痛は大きなストレスです。人はストレスがかかると、色々なホルモンを分泌してそれに戦おうと頑張っています。そんな時に出るホルモンは血糖を上昇させるものが多く、血糖を下げてくれるホルモンはインスリンだけなのです。

インスリンが慢性的に不足状態にある糖尿病の患者様の体の中では、インスリンの作用不足がいっそう進むこととなり、血糖値が上昇します。精神的なストレスも血糖値を上昇させます。

食欲がない時は、どんなものを食べたらいいのでしょう?

食事量が減ると、摂取エネルギーが不足しがちになります。食欲がない時には口当たりと消化の良い糖質食品を中心に、食品を表の中で交換しエネルギーを保持するようにしてください。
(おかゆ、おじや、うどん、茶碗蒸し、果汁、スープなど)全く食べれない事や食欲不振が続く場合は早めに受診しましょう。

食欲がない時、下痢の時に一番大切なことは…?

脱水は高血糖を促進させるので(前記参照)、水分摂取を心がけましょう。
体調が悪い時は胃腸も弱っています。みそ汁やスープ、果汁などを人肌程度に温めてゆっくりチビチビ摂取しましょう。

血糖降下薬を飲んでいる場合は?

食事がいつもの半分以上食べられる時には、いつも通りに薬を飲みましょう。
半分以下や全く食べれない時には薬は飲まないで、受診しましょう。

インスリン注射をしている場合

*インスリン注射は絶対に自己判断で中断しないでください。

インスリン注射を自己判断でやめてしまうと、どんなことが起こるのでしょうか?

食欲不振や体のだるさなどから、血糖が下がると思いインスリン注射をやめていることはよくあります。しかし、発熱や欠食、下痢などで脱水状態となり、ストレスも加わり、血糖値が上昇しているような時にインスリン注射を中断してしまうと、いままで以上のインスリン欠乏状態となり、口が渇く・多飲・多尿・全身倦怠感などの高血糖症状が急激に起こります。

悪化すると、呼吸困難・腹痛・嘔気・嘔吐・意識障害などが出現しケトアシドーシスという状態になり、治療が遅れてしまうと命にかかわります。毎日の血糖自己測定や日常生活などの自己管理を続け、風邪など引かないこと!特に、病気のために普段どおりの食事ができなくても、我慢したりインスリン注射を中止せずに早めに受診または相談をしてください。

体調が悪い時は血糖値が不安定になります。血糖測定は今までどおりでいいでしょうか?

3~4時間ごとに血糖を測定しましょう。値が300以上または100以下が続く時には、病院を受診しましょう。

病院がお休みの時はどうしたらいいのでしょう?

体調が悪い時は、我慢せずに当番医の病院を受診しましょう。

インスリン療法を行っている患者様は基本的に入院になります。

インスリン注射をしている場合

*インスリン注射は絶対に自己判断で中断しないでください。

血糖自己判定

自己血糖測定(SMBG)

糖尿病の治療の目的は、合併症の発症と進展を予防することです。そのためには良好な血糖コントロールが必要です。しかし、月に一回の受診時に見る血糖値だけでは日々のコントロール状況はわかりません。なぜなら、血糖値と言うものは食事からの経過時間や食べたもの、体調などで変化するものだからです。

そこで、受診時にはHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という"採血時から逆上って1~2ヶ月間の血糖のコントロール状況を反映する数値″を採血して判断するわけですが、それでも細かな日内変動や最近注目されている食後の血糖値などはわかりません。

インスリン注射を行っている方は、効果や注射量の調節、低血糖時のためにも自己血糖測定は必須ですが、その他糖尿病薬などを使っている方も自分はいつの血糖が高いのか、食事療法や運動療法・薬の効果が出ているかなどを確認するためにも自己血糖測定は有効です。自己血糖測定を行うことで、患者様自身も医療者側もコントロール状況をより詳しく把握でき、より細かな治療を行うことができます。

しかし、残念ながら現在の日本の保険ではインスリン注射を行っていない方の自己血糖測定は保険適応になっておりません。患者様の負担を少なく自己血糖測定が広まることで、合併症の予防につながると思われ、将来的に保険の適応が認められる可能性もあります。自費購入で行う場合は一回100円程度のコストがかかります。

自己血糖測定のメリット

  1. 食事や運動など日常生活と血糖値の関係がわかってくる。
  2. より細かな治療の手助けとなる。
  3. 在宅でも積極的な薬物療法ができる。
  4. 合併症の進展を予防できる
  5. 治療や血糖コントロールへの信頼がもてる。
  6. 安全な妊娠・出産の手助けになる。
  7. 自己の血糖の流れを把握でき、行動範囲が広がる。
  8. 低血糖の確認ができる。

自己血糖測定の注意点

  • 数値に一喜一憂しないこと。(高いから、低いからと基本の食事や運動が守れなくなる)
  • 血液で測定するものなので、感染予防のため、人には貸さないこと。

血糖コントロールの目安と評価

目標 血糖正常化を目指す際の目標 合併症予防のための目標 治療強化が困難な際の目標
HbA1c(%) 6.0未満 7.0未満 8.0未満
  • 治療目標は年齢、罹病期間、臓器障害、低血糖の危険性、サポート体制などを考慮して個別に設定します。

糖尿病教室について

当院では、診察までの待ち時間や、診察後の時間を利用して患者様個別の指導を行っております。

初めて糖尿病と診断された方や、これまでに糖尿病に関する指導を受けていない方には、糖尿病とは?糖尿病の合併症について資料をお見せしながら説明をしています。

治療歴が長い方や、糖尿病教育入院をされたことがある方も、時が経つにつれて知識も徐々にあいまいになりますので、インスリンの手技、低血糖時の対処、シックデイ時の対処などについても定期的に指導を行っております。医師からの指示がなくても、ご希望があればいつでも行える体制を整えておりますので、気軽に声をかけてください。もちろん、糖尿病以外の相談でも結構です。